ぽっかり開いた 雲の切れ間に 差し込む光 街を染めてく 錆びついたドアを 軋ませ「ただいま」 笑うあなたの影探す 駆け寄り伸ばす 指の先には 触れることない 貴方の温度 握ったガラスの 欠片に映った 雲は白く濁っている 腕を伝う赤い旋律だけが ここにある全てと 優しく教えてくれたのは 腕の痛みだった 蝉の声が 空に響く 「僕はここにいる」と身体震わせ 消えかけてく 灯りのように 力尽きるまで 叫び続けるのね ふたり 口ずさんだあの曲 いつまでも聴けると信じていた あの頃 そう ずっと いつまでも 頬を伝う 雫の理由それは なにかを探しては ため息に背中を丸めて 膝を抱え込んだ 空の色と 流れ落ちてく 命の欠片は 同じ色してる 薄らいでく意識の中 最後に願った「あなたに会いたい」と セピア色した 部屋の片隅 孤独だけが一つ残った 蝉の声も もう 耳に届かない 静かな風 そっと吹いた この部屋に