もしも記憶が零れ落ちても 過ごした時間はきっと… 『やがて時の流れが癒してくれる』 粗筋はいつもと同じで 傷痕以外の絆だけが ぼやけては 風に消える 過去形のおとぎ話と 花の尾羽を 束にして 陽に捧げても 届かない現実に 呑み込まれて 溢れ出す memory error 一秒ごとに 何かを失って 一秒ごとに 何かを得て 今でも染みる それぞれの棘は どうすれば 赦されるのだろう? もしも記憶が 零れ落ちても 過ごした時間は きっと永遠と 無邪気に信じあえた 去りし日々が 断ち切れぬ糸のように 揺れている 前髪の向こう側 揺れている シャワーを浴びる音が 転がる部屋で シーツにつま先を落として あの日の輪郭を なぞりながら 繰り返す memory error 一秒ごとに誰かを忘れ去って 一秒ごとに誰かを知って 今思い出す お互いの顔は 笑ってる?怒ってる?泣いてる? 今日も記憶が 零れ落ちては 微熱を帯びた頬を 濡らすけど 移ろいに寄り添う 痛みの意味を 言葉に出来ずに また こみ上げる 掛け間違えたボタンでカチリと跳ねた 爪の音に 二人 顔見合わせた。 今も胸でこだましてるから 記憶も心に息衝いているのでしょう。 足早に廻る季節が 少し痩せたうなじを撫でる頃 ふと 『もしも記憶が 零れ落ちても 過ごした時間は きっと永遠さ』 誰かの声が 聴こえた気がした 五日の僕の声に 似ている気がした